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「……クソっ! またからかわれた」
数ヶ月前に起こったまさかのゲイバレ事件。
君島のせいで、自分がこれまでの人生必死になって隠していたことを、皆がすでに知っていたという事実にもの凄い羞恥に襲われたものの、知っていたのに皆の態度が変わらなかったということに職場の同僚たちの温かな人間性を垣間見たような。
社内ではすでに公認となってしまった二人の関係だが、蓋を開けてみればそれが思ったほど生きにくくはないということに気づいた。
「本当、おまえには参る、マジで……」
「飽きないでしょ、俺といると」
「腹立つほどにな!」
「それ、褒め言葉と思っても?」
「いや、褒めてねぇし」
こんな言い合いも、随分と慣れたものだ。
「さて、賢太郎さん! 明日休みなことですし、今日のご褒美は朝までコースでいいですか?」
今日も新しい契約に扱ぎつけた君島に褒美の催促をされている。
「は? 朝まで飲み歩けって?」
「違いますよ。言葉で聞きたいすか?」
ニヤと笑った君島の笑顔に嫌な予感。
「つまり──朝まで俺の○○をアンタのケツに咥えこませてエッロイ声で喘がせてやりますから」
相変わらずのゲス発言。
「……本当、お前の頭何でできてんの?」
「アンタへの愛と執着……それから、止まらない欲望?」
その言葉に筧は思わずブルっと身震いした。
ほんと、怖ぇえ。怖すぎる、このイケメン。
「──だから、なんでそうなんだよ、おまえはっ!」
けど、案外悪くない。愛し愛され今を生きる。
愛のカタチは人それぞれ。
思うままに生きてみよう。
一人じゃ辛いかもしれない事も、二人ならきっと思ったより幸せだ。
-end-
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