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 自宅アパートの部屋の床に転がる泥酔状態のイケメン。  筧一人でこの長身の男を運ぶにはさすがに無理があり、タクシーの運転手の手を借りてどうにかこうにか部屋まで運び込んだ。 「──ったく、なんの罰ゲームだよ」  筧は床にうつ伏せに転がったままの君島の背中を足で突いた。  今日、初めてまともに顔を合わせたよく知りもしない男をなぜ自分が持ち帰らにゃならんのだ。ちょっとばかり親切心を出したばっかりに……恩を仇で返されるとはまさにこの事だ。 「おい。君島、起きろ」  筧が少し乱暴に君島の背中を足で揺らすと「ん……」と小さな呻き声をあげた君島がムクっと何かに反応したかのように身体を起こした。 「今頃起きるとか、マジかよ──起きるなら、もっと早く起きろや、マジで!」  筧が少し苛立った声で言うと、君島がゆらりと身体を起こして口元を押さえた。 「っぷ、……出る」 「は!?」  “出る”!? 瞬時にその言葉の意味を理解した筧は、 「待て! つか、ここで吐くな。飲み込め!! 今吐いたらぶっ飛ばす!!」  慌てて君島の首根っこを掴み、そのまま勢いよくヤツをトイレに引きずり込んだ。
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