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その後から力は父にだけではなく家業である"やくざ"という存在自体に憎悪を抱くのであった
力がまず取った行動は"この家から出る"という事だった
この時まだ10歳だった力は1人で生きて行くと決めたがすぐに自分の行動を省みる
力は齢10にして自分は他人の力無くしては生きて行けないと悟ったのだ
今までどんな酷い仕打ちを受けたとしても心の拠り所さえあれば生きてこられた、母の存在がそうだったようにこれからもそうゆう存在が必要だと感じていた
力は決して頭が良い訳ではないし
勉強を出来るわけではないが
「人は1人では決して生きていけない」
という人生においてとても大切な事を自分の経験から学んだのである
力はその存在はこの家には無いと気づきすぐに家を飛び出そうとした
"自分の意思で外に出れば"何かが変わると直感でそう感じたのだ
が勝手な外出は許されていない為、家を出る前に組員に止められ家を出る事が出来なかった
変に荷物を纏めた鞄を背負っていた為、家出を勘繰られ一層、家を出る事が難しくなった
明る日に学校の行き帰りの最中にそのまま家出をしようと思ったが流石にヤクザの息子というだけあって世話役の組員に毎日欠かさず送迎されていた。
"ヤクザ"の息子という事は学校中に知れ渡っているのでそんな奴に近づいてくる者はいなく
力は"友達"という友達が居なかった
そう、力は家でも外でもいつでも独りだった
そんな状態で心を許せる存在などあるはずがなく今後もそう容易く見つかる事ではないなと力は今日も落胆していた
「結局、外に出られても学校の中やったらいつもと変わらんままやな…」
だが人生ていうやつは
"必要な時に必要な事が起こるようになっていた"
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