永年保護室

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 夜は静かだった。誰もが寝入っている間は駐車場に置いてあるものの所有権が離れやすい。そう例え、金を払わずとも。  アーケードの駐車場ではバイクにエンジンをかけている佐久間と、別のバイクの鍵口をイジッている俺がいた。 「高良、なあ、お前、永年保護室って知ってる?」 「永年保護室〜?」  俺はハサミをバイクの鍵口に差し込んだまま、佐久間の質問に聞き返す。 「更生不可能な少年、少女は真っ白な部屋に送られてそのまま死ぬまで出られないらしいちゅう話だよ」 「へぇーじゃあバイク窃盗してる俺らも対象かな」  俺は佐久間の答えを待つ。未だに鍵穴のシリンダーが解除されない。持ち主を識別しているのだろうか。 「だろうな。自分のバイクが朝無くなってたのを見たら呆然とするね、俺は。 やった奴は死刑でも生ぬりぃ。シベリアで強制労働させてやる」  舌の根も乾かないうちに俺たちはそういうことをしているのだが。
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