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「可愛い!」
袋状の開き口には、淡いピンクのリボンが結ばれている。少し重みのあるそれは、もしかしてもしなくても、私へのプレゼントだ。
「先輩、ありがとうございます!」
嬉しくて、思わずその包みをぎゅっと抱きしめる。すると、それを見た先輩がプッと吹き出した。
「大げさだな。でも、それだけ喜んでくれると渡し甲斐がある」
その柔らかな優しい笑みに、舞い上がってしまう。
「開けていいですか? いいですよね!」
「いいけどって……開け始めてるし!」
先輩のツッコミもなんのその、私は慎重にリボンを解き、袋を開けた。
「わあああ! この作家さんは初めてです! 面白そう!」
重みがあったのは、文庫本五冊が入っていたからだ。その本は、まだ私が知らない作家さんの著書で、ジャンルはもちろん大好きなミステリー。
「ミステリ好きの友達に勧められて読んだら、すごく面白かった。サラッと読むというよりかは読み込んでいかなきゃいけないタイプだけど、平井は問題ないだろ?」
「はい!」
サラッと読めるタイプのものも好きだ。でも、読み込むタイプのものも、もちろん大好きだ。要は面白ければ何でもいい。読むことが好き、という点では私も先輩も同じなので、さすがよくわかっている。
「既刊全部一気読みしたから、平井もたぶんそうだろうなと思ってセットにしてみた」
「ありがとうございます、嬉しいですっ!」
一気に積み本が五冊増えた。読書好きとしては、めちゃくちゃ嬉しい。
本を手に取りホクホク笑顔でいると、袋の隅に小さな箱が転がっているのが見えた。それに気付いて取り出そうとした時、ふとその腕を掴まれる。
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