Special Day ~「藤沢先輩はいつも不機嫌」番外編~

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 卒業式から一週間と少し。  終業式間近ということで、他の子たちは春休みの計画でソワソワしているそんな時期、私、平井まどかは別のことでソワソワとしていた。 「まどか、春休みはどっか行くの?」 「んー、お姉ちゃんも無事大学が決まったし、旅行でもって言ってたんだけど……」 「だーれが家族旅行の話をしてんのよ? 違うわよ! 藤沢先輩とどこかへ出かけるのかって聞いてるの!」  真由ちゃんが呆れたように肩を竦めている。  ハッ! そ、そうなのか……。てっきり普通に春休みの予定を聞いてるものだとばかり思っていた。  真由ちゃんはきっと彼氏さんとデート三昧なんだろうなーとか思ってあえて真由ちゃんの予定は聞かなかったけれど、思いがけず真由ちゃんから私の予定を聞いてくれたものだから、てっきり遊んでくれるのかと思ってた! 「え、えっと……。14日に会う約束はしてるんだけど……」 「お! やったね、まどか!」 「ほ、ホワイトデーかな? それとも……」  卒業式の日から付き合い始めた私と藤沢先輩だけれど、普段、図書委員の当番でお世話になっているという名目で、バレンタインにはチョコを渡していた私。藤沢先輩は律儀な人だから、お返しをしてくれるのだろうと思っていたのだけれど、その日はなんとお家へ招待されていたのだった。お返しにしては、なんか大げさな感じになっている気がする……。  ホワイトデー以外にもあるといえばあるのだが、それを先輩が知っているとは思えない。だって、私は一言も言っていないのだから。  しかし、私のそんな疑問は真由ちゃんの言葉で一掃されてしまった。 「やるなぁ、先輩。もし何もなければけしかけるつもりだったけど、ちゃんとやることやってくれて私も嬉しい。……なに変な顔してんの? 3月14日はまどかの誕生日ですよーって私が教えたに決まってるじゃん!」
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