ハデス車を買う

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呆然と立ち尽くす森神シルヴァヌスに、力強い包囲網は狭まっていた。 レーザーポインターを指向した島原と莉里、そしてトキの姿があった。 「最早ここまでです。左派は既に死に体。資本主義の豚とかつて貴方が蔑んだ我々が、貴方を調伏いたします。覚悟なさいませ。ディエゴ・呉。思えば呉・ディエゴって。改めてあえて申しましょう、昔の感覚で。馬鹿かあんたは」 ブルブル震えていたディエゴ・呉は、そして爆発した。 「ならば直接死ねお前等あああああああああああああああ!何なの?!何でこうなるの?!やっぱり俺は勘解由小路に阻まれるのか?!神になったってえのに何で勝てないんだよおおおおおおおおお!!細が!トキが!このガキがああああああああ!神の一撃を食らえええええええええええ!」 シルヴァヌスの莫大な霊力を、トキは結界で阻んだ。 胸には莉里とメルがしがみついている。 「癇癪を起こしましたか。やはり神だけあって力は馬鹿馬鹿しい。ぐ。結界が」 「トキいいいいいいいいいい!頑張るのよさ!負けたらパパは勿論莉里も泣くのよさ!トキはいつも威厳たっぷりで!パパの行動を先読みする恐怖の婆やなのよさ!トキが!死んだら!莉里も生きていけないのよさ!」 莉里の頬を涙が流れた。 トキは強く莉里を抱きしめた。 「何て可愛らしいのです。この美しくお育ちになられた幼気な姫君の為に、トキは勝利するのです。ディエゴ。かつて出会った愚かな男。金のことしか考えず、自己批判もないままに他者を非難し、人心を惑わさんとして細様に愚物と断じられ容易に縛につかれた男。貴方に破滅を授けましょう。島原様!」 ええい!彼女には逆らえんな! トキと島原は同時に力を高め解き放った。 ディエゴは見た。己を突き破らんとする雷光と、その閃光の陰に伸びる、巨大な霊気の奔流を。 金毛九尾。かつて、アジア地域を広域に震撼させた恐怖。全く美しい破滅の運び手。 やっぱり、お前は、美しい。 やっと神になれたのに、いい気になって好き勝手しようとした新たな森神は、おっさんと幼児JKとババアに敗北し、消滅して消えた。
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