ハデス車を買う

9/20
前へ
/21ページ
次へ
どうするのだ。この状況は。 よく考えると全くいつも通りの光景があった。 犬達はそろそろ我を忘れて乱交をおっ始めようとしていた。 「ああん?これは参っちゃったのよさ。おじさん平気なのよさ?」 気がつけば目の前に銀毛九尾の狐少女がいた。 「おかげさまでな。君は?」 「まあ莉里は平気なのよさ。パパは面白半分に状況に乗ってるだけなのよさ。おじさんは流石なのよさ。心配なのは勇者犬とママ達なのよさ。で、まあこうなったら莉里が動くしかないのよさ。三つ子ちゃん達も蛇っぽくなったら困るのよさ。既にちっちゃいベロがチロチロしててあんまり猶予はないのよさ」 「その前に勘解由小路が真琴君に食われるだろうが」 ナマケモノの命は風前の灯だった。 「まあこの状況は、どう考えてもあれなのよさ。トキと莉里が揃うってのは滅多にないのよさ。おじさんが動物になってないってことはやっぱり」 島原とて馬鹿ではない。自身の守りが働いている状況。それが示すのは一つしかない。 だが一つ言いたい。 「神は馬鹿なのか?!ヤハウェも!ニュクスも!弁天も!まともな人格の持ち主は一人もいないのか?!」 「まあ、それが神なのよさ。程度の低いことに心血を注ぎ続けるのよさ。何があっても。どんな邪魔が入ろうとも」 何てどうしょうもないのだこいつ等は。 「莉里も動くのよさ。おじさん力を貸すのよさ」 確かに言動は幼いしやってることはアイドルだとしても。 この娘も勘解由小路なのだ。 忘れそうになっていた。真理に到達し、ついにはハデスになった男の愛娘(まなむすめ)なのだった。 「莉里には別の肩書きがあるのよさ。冥王、妖精王、英雄王に並ぶもう一つの肩書きが。それは」 それは? 「あまねく御稜威の如き楽園郷。全ての生きとし生ける者の武陵桃源。莉里は、莉里のモフモフキングダムの絶対君主なのよさ」 やっぱり馬鹿の娘だ。 島原は現実を思い出した。 「傾世元禳(けいせいげんじょう)がなくたって莉里は周囲の存在を魅了出来るのよさ。兄ちゃんはエロが足りないのよさ」 十分如何わしい義息ではないか。 「それで、どうするというのか」 「みんなを呼ぶのよさ。ホーイホーイ!」 その時、ジャングルが震撼した。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加