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前説
これはほんのちょっとのおはなし。
誰かに忘れられた世界のおはなし。誰かが失った記憶のおはなし。誰かが望んだ未来のおはなし。
ここは『人生劇場』。
誰かの人生をお楽しみ頂けます。知らない誰かさんの人生を観劇できるのです。
あなたが望んだものは何でしょう? しあわせな世界? それとも嫌いなあいつが苦しむ姿? ここではなにも遠慮することはありません。あなたの心の内に秘めた烈しい想いこそ、私達が望むものです。
観劇のお代は金銭でも物品でもありません。そんなものは私共には必要ありません。しかしながら、お客様がどうしても、と仰るならば受け取らせていただきます。お代は時間。時間だけを頂きます。
私共は来るものを拒みません。そして去る者は全力で追いかけてみせましょう。あはは、冗談でございます。そんなことはいたしません。去るなら黙って去ってくださいませ。立つ鳥跡を濁さずと言うでしょう。
当然ではございますが、本公演の録音や撮影、その他迷惑行為は一切ご遠慮願います。
違反者は発見次第、相応の代価を支払って頂くことになりますので、心にしっかり刻み付けておいてください。頭の片隅ではなく、中央部分で覚えておくとよろしいかと。
それでは、劇場の準備が整うまで今しばらくお待ちくださいませ。もう少しだけの辛抱でございますよ。
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