4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
朝雲を待っている間、俺は指先で膝を叩いていた。それが可笑しいのか禿二人はクスクスと笑い合った。
「何が可笑しい」
二人はピタリと笑うのを止め、こちらを見た。
「朝雲姉さんには膿みがありんす」
「うみ?」
海、産み、膿み。恐らく最後のだろう。
なるほど、先月の傷が治っていない。それを禿は言いたいのか。
「次郎様、入りんす」
そう声がし、襖が開いた。出てきたのは先月と変わらない遊女・朝雲だった。
朝雲は全てが美しい。
瓜実顔の白い肌、艶のある髪、小鳥の鳴くような声。ああ、浮世絵から飛び出してきたようだ。
禿たちは朝雲に一礼すると部屋を出た。
二人が部屋から出るや否や朝雲はうっとりとした顔つきで俺の横に座った。
最初のコメントを投稿しよう!