4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「次郎様。会いたかった」
「一月ぶりだな」
朝雲は眉を下げた。
「己が死ぬのは勝手ですがなにもわっちを巻き込まなくても」
俺は口と口を重ねた。
「俺の朝雲を独り占めしようなんてふてぇ野郎だ。もし生きていたら俺が斬り殺していた」
「まあ、怖い怖い」
微笑みながら朝雲は俺の肩にもたれ掛かった。
暫く微睡んでいると俺はここに来た目的を思い出した。
「ああ、そうだ。お前に菓子を買ってきたんだ。これを食べて早く元気になりな」
俺は風呂敷から羊羹を取り出した。
「まあ嬉しい」
「喰い物か。早く寄越せ」
一瞬、朝雲の声に重なるように老婆の声がした気がした。
最初のコメントを投稿しよう!