バケモノが棲むところ

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「次郎様。会いたかった」 「一月ぶりだな」  朝雲は眉を下げた。 「己が死ぬのは勝手ですがなにもわっちを巻き込まなくても」  俺は口と口を重ねた。 「俺の朝雲を独り占めしようなんてふてぇ野郎だ。もし生きていたら俺が斬り殺していた」 「まあ、怖い怖い」  微笑みながら朝雲は俺の肩にもたれ掛かった。  暫く微睡んでいると俺はここに来た目的を思い出した。 「ああ、そうだ。お前に菓子を買ってきたんだ。これを食べて早く元気になりな」  俺は風呂敷から羊羹を取り出した。 「まあ嬉しい」 「喰い物か。早く寄越せ」  一瞬、朝雲の声に重なるように老婆の声がした気がした。
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