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『あなたの人生にタイトルをつけるなら?』
一文だけが書かれたA4の紙が一枚。それが僕を苦しめる。国語の授業で課された問題だったが、既に放課後になっていた。
友人曰く「適当にやれば良いよ」とのことだが、僕の頭は固すぎるようだ。ダイヤモンドの次くらいに固いのではないだろうか。思い付いた言葉全てが即座に否定される。
灰色の青春?それは今の事しか表していない。
無題?それは少し格好つけすぎだろうか。
港町と共に?地元は好きだけど、そこまでの事ではない。
妥協して思い筆を動かす。そして、消して。いつしか白い紙はグレーになっていた。もしかして、これが僕の人生なのだろうか?書いて消して迷い悩み、いつか真っ白だった人生に色が加わっていく。
『書いて消していつか自分色』
ぱっと思い付き書いてみたが、しっくり来た。これは確かに自分だ。
再度、汚れた紙を凝視する。少し気取った感じがある気がする。薄く残るように消ゴムを使い、タイトルを変更した。
『灰色の青春(仮)』
これで良い。これならば目立たずに済む。
「書いて消して自分色」
小声で呟いてみると、しっくりとした感覚と少しの気恥ずかしさがやってきた。
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