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勇者来る
ここはとある世界。
その世界は魔王、ジャギロスによって暗黒の時を迎えようとしていた。
しかし、そのような中でも希望を捨てず、勇者カインとその仲間たちは日々魔王を打ち倒すべく冒険の日々に明け暮れていた。
世界中が勇者たちの勇敢な姿に心打たれ、世界で最も大きな国であったアリストロ国の王、ダイアンもまた勇者たちを讃えた。
そして、ある日のこと。
「王様!ご報告がございます!」
城の衛兵が息も絶え絶えに、王の間に飛び込んできた。
「そのように慌てて、一体何事じゃ?」
「そ、それが」
「まさか、魔物が城に攻め入ったか!?」
「いえ、魔物ではございません。むしろその逆であります!」
「逆?逆とは一体?」
「ゆ、勇者様御一行が、城下町に来られました!!」
「なに!?それは誠か?」
「はい、間違いございません!」
「そうか。して、勇者殿は今どこに?」
「はい。今は町の宿屋にて休まれております」
「何?町の宿屋だと?馬鹿者!!何故、この城にもてなさなかったのだ!!」
「も、申し訳ございません。私もどうかダイアン王に一目お会いして頂きたいと申し上げたのですが、頑なに断られてしまい」
「言い訳はよい、早く勇者殿をお連れしろ!!」
「は、はい!」
王に叱咤され、王の間から慌てて飛び出す衛兵。
その一部始終を陰からソッと見ていた人物が一人。
そして、この人物がこの世界の鍵を握るその人であることを、今はまだ誰一人知る者はいなかった。
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