労働の脚

1/1
前へ
/12ページ
次へ

労働の脚

踝をくるりとなぞって 呪いをかける 永遠の少女になりなさい 蛍光灯に照らした ぱんぱんの脛 真珠のような艶やかさが気味悪い 絨毯に投げ出した双子の道よ わたしの中心からまっすぐ指さす方へのびてゆけ いつかこの労働のふくらはぎに 愛情を注ぐ時間ができるかしら 可愛い小指が欠けてしまって しゅるりしゅるり 肥厚した踵に爪をたてる しゅるりしゅるり 踝の呪いは解けていく 蛍光灯は青白くって わたしは完全に 少女ではないものになったんだなあ 爪先は浮かない そればかりか わたしの脛ったら圧すと沈んで目を閉じる 明日も仕事がんばりましょう 朝にはぱんぱん 引いていてね 手をかけてあげなかったわたしの脚は ほとほと褪せて それでも蛍光灯の下 輝く 夢の手前の夜よ
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加