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春の儀式
マフラー 心中しましょうか
春の産声 聞きました
薄氷を踵で嬲って
春の悪夢に落ちましょう
早とちりの桜になりたいの
満開の木に宿る亡霊みたいに
春の永遠に死んでいたいの
フキノトウの苦みに毒を盛って
春の入眠儀式かな
桜舞う度 雨のこと忘れる
雨は特別好きなのに
まだ、肌寒いですね
この桜が散り終える頃
わたしはまた一つ年をとって
心象風景 描けなくなる
春の産声 そこかしこに
気怠さが波打って
何度もわたしを誘惑する
精神が肉体に溺れそうで
背骨から黒髪の毛先まで
思い通りにならないの
波の止んだしじまに
わたしは今 少しだけ佇んでいる
ねえ、マフラー
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