~明里~

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~明里~

 私は、麗が大好き。自称麗の親友! 難しくてもしょうもなくても、親身になって相談を聞いてくれるし、皆に優しい。言葉通り、皆に。 私は、そんな麗が大好きなはずなのに、私以外の子と楽しそうに話しているところを見ると、なんだかモヤモヤした。 でも、恋愛感情ではないと思う。モヤモヤするだけで、一緒にいてドキドキする、なんてことはないし、男子を好きになったときはドキドキしたり触れたいと思ったりするから。 だから、麗に抱く感情と彼氏や好きな人に抱く感情は、違うという憶測であっていると思う。 でもきっと、麗は私のことをそこまで好きではないと思う。もしかしたら、嫌いかもしれない。一生懸命になって私の相談を解決しようとしてくれるのは、「皆に優しいから」なんだろうな。 最近では、私が抱きつくと、何かを堪えるように歯を食い縛っている。多分、私が嫌だから。 友達に相談しても、「麗ちゃんが誰かを嫌いになるわけないでしょぉ」とか、「麗さんは、明里のこと大好きだよ?」って。 それは本当だ、って思いたいけど、昔から素直じゃない私には無理だ・・・。 ーーーーー  今日、元カレの話をした。麗はいつも通り、真剣に聞いてくれたし解決策を考えてきてくれる、とも言ってくれた。すっごく嬉しかった。もしかしたら、皆の言った通り麗は私のことを好きなんじゃないかな、って思った。 でも、それは一瞬。自惚れちゃ駄目だ。余計に傷つくことになるもの・・・。  帰る時間になって麗と帰ろうとしたとき、校門に元カレがいることに気付いた。すごく焦った。 だから、麗が私のことを嫌いだということは忘れてしまっていて、思わずついてきて欲しい、と言ってしまった。 その後すぐにアッと思ったけれど、麗はもう、元カレに会う気でいた。今から断るのも悪いと思い、私はついてきてもらった。 いや、本当は悪いと思ったからなんていう理由じゃなくて、ついてきて欲しかっただけなんだろうな。 本当に私って、ずるい子。 ・・・昔から。 って、ダメダメ! 過去なんて、私は忘れたよ。  元カレをみて、麗は少しの間、固まっていた。緊張しているのかな? と思ったけれど、元カレが「会ったことある?」って言ったとき、明らかに焦っていた。 その後の言動を見ても、麗は過去のことを隠していることがまるわかりだった。 「私にだけは、話して欲しい」 そんなこと、思っちゃダメなのに。 麗は私のことが嫌いなのに。 それに、私だって過去のことを、隠しているくせに・・・。 「ごめんね、麗・・・」 ポタポタと止まらない滴が、地面を濡らした。
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