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「自分のやりたいことでお金を稼ぐことのできる人は
本当に一握りだから
多くの人達はやりたいことのために
お金を稼ぐんだ」
夢が叶うほど世の中は甘くないよって
周りの人は言うけれど
私の意思は誰よりも固く揺るぎないものだったから
絶対に女優になる夢をつかめると思ってた。
周りの空気や常識も溶かすほど
舞台の上で私の熱い想いを魅せつけたかった。
この決意の深さは誰よりも深くて
決して生半可な気持ちじゃない。
でも世間の目はあまりにも無常で
そんな自分とズレているのにも気が付けなかったんだ。
この夢の花が咲くまで
一体何度眠れば良いんだろう。
何回目の朝を迎えたら良いのだろう。
いつしか砕け散った心の破片は
ゆらゆらと夜風に揺れて
気づいたら雪が降っていて
私には永遠に春が来てくれなかった。
あなたは何度も私の舞台を観に来てくれて
舞台の感想を嬉しそうに告げてくれたね。
家に帰ると今日もお疲れ様って
大好物の煮込みハンバーグを温め直してくれて
シャンパンを開けて乾杯したね。
最初は天井に栓が飛んでいったけど
いつの間にか無音で開けれるようになったよね。
私はなかなか花を咲かせることができなくて
いつも涙で滲んだ約束しかできなかった。
もう少しだけそばにいてって
もう何度も告げたよね。
理想の未来に必ず立つからって
いつも口で言うだけで何の根拠もなくて。
初めてシャンパンで乾杯しなかった日は
真っ赤な赤ワインを開けたあなたの
決意の深さを表していたね。
別れたくないってこみ上げる思いを飲み込むほど
とどめない雫がハラハラとこぼれ落ちて
雪のように降り積もるだけだった。
涙で滲む約束を果たせない私のことなんて
もうさすがに待てないよね。
もう少しそばにいてなんて
もう本当は聞き飽きてるよね。
あんなにも私は春を待ちわびながら
あなたのことを待っているのに。
気づけば今日も
真っ白な雪が降り積もっている。
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