モンストロの遺書

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勘違いしないでほしいのは、父は私を手放しに誉めてばかりで育てたわけではありません。勉強以外のことはからきしなので、できた友達を大切にしなさいといつも私に言い聞かせました。だから、父に褒められるのが生きがいのような私にも友達がいました。セドナは中学年くらいからの友達で、よく私が勉強を教えていました。そのころから、周りの親だけでなく、同学年の子供も、私のことを陰で「バケモノ」と呼んでいることには気が付いていました。それでも、私は嬉しかった。そう言われることは、普通の中で普通に埋もれずにやっていける才能が自分にあること、それを周りが認めていることの証左に他ならないと思っていたからです。  そして、私はセドナも「バケモノ」だと思っていました。セドナは小柄でも力が強く運動がよくできて、些細なことでも笑うその顔がとても愛らしい子です。勉強はからきしでしたが、表情に乏しく友達が少ない私と一緒にいてくれる優しさ、運動能力の高さはまさにバケモノだと思っていました。そう言ってもセドナはあまりいい顔をしないので言わないようにしていましたが。
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