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始まり
エマ「んーここどこ?
いつもと知らない感じ、こんなとこ私の村にあったっけ?
帰らなきゃなのに…どうしよう」
獣といつも通り戯れをしていたらというか
張り合っていたというか
そんなこんなしていたら辺りは
真っ暗闇になっていた
女の子なのだからもっと体を大切にしなさいと
村の人からよく言われるけど
弱かったらみんなを守れない
絶望を味わうのは母を失ったその時だけで
もうたくさん。感じたくもない
エマ「もう誰かを失いたくない
目の前で零れ落ちるのは嫌だ
自分で何もかも守れる強さがいるの
例え一人になっても」
日の暮れて暗くなった空を見て呟いたものの
何とも示しのつかないことにこの場所には
見覚えもない
エマ「ま、迷ったぁ」
がっくりと肩をおとし とにかく歩くことにする
この愛用の猟銃があれば狼は怖くないけど寒い
ものは寒い
季節は冬だし…
寒さと微かな不安にガタガタと震えながら進む
それでも歩くのはやめるつもりはなかった
いくら歩いたかもわからない
お空まで真っ暗になってきたとき不意に
「ぐるるる」
大きな音をたてて私のお腹が鳴る
もうお昼からなんにも食べてない
エマ「もう、やだよぉ」
空腹感に苛まれて半泣きになりながら
諦めてゆったり前へと進む
前よりも速度を落として歩いていけば
黒々しい輪郭をしたなにかがあって
前に進む度に大きくはっきりとしてくる
近づけばそれが何だか理解できて
エマ「ああ!! 御屋敷だぁ
やった、なにか食べられるかも」
なにか食べられるかもと期待が浮かべば
それしか頭のなかに考えられなくて
全速力でその扉を目指してドアを叩く
この際に形振りなど構ってられない
エマ「すみませーん。どなたかいませんか?」
大きく声をかければ私の声が反響した気がする
ま、いいよね。そうしないと聞こえないかもだし
と一人で納得し寒くなってきた外で待てば
程なくして扉が音をたてて開く
モブ爺「こんな夜更けに子供が一人とは危ない
遭難でもしましたかな?
今宵は遭難者が何名かこちらにいらっしゃっているようで多少は賑わっていますよ
不謹慎かもしれませんが」
お爺さんの話に耳を傾ければ
自分の他にも人がいるのだとわかる
一人でいるよりも何倍も安心できそうだった
エマ「えっと、その
私、お腹がすごく空いていて困ってるんです
食事や寝床をお借りしたいと思うのですが
できますか?」
おずおずと尋ねれば にこにこした老人と目が合う
モブ爺「そうか、そうか。お前さんも大変だったのう。幸い部屋も食事もある
ゆっくりしていくといい
時間があるから挨拶でもしておくとよいじゃろう」
エマ「あ、ありがとうございます
そうしておきます!」
ペコリと頭を下げればお爺さんは屋敷の奥へ
消えていった
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