始まり

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エマ「寒くないし、綺麗だし良かったぁ そうだ、挨拶挨拶っと」 私以外にどんな人がいるんだろうとワクワクと 不安が入り交じっていた 「ギィ」 重い扉をよいしょっと言いながら開ければ パッと明かりが見える エマ「んっまぶし。こんばんは私 エマっていいます。よろしくお願い致します」 来て早々ペコリと頭を勢いよくさげて挨拶をする ビル「また遭難者か。こんなに若いのに わしはビルという。気軽に頼ってくれ ここには幸い温かいものがある ゆっくりしていきなさいとのことだよ」 ショーン「不運なものだな まぁ、それも仕方ないことなのだろう 私はショーンという、よろしく頼む」 アーニー「あ!お姉さんだぁ やっと僕と同じくらいの人来てくれた 僕はアーニーっていうよ!よろしくね エマお姉さん」 可愛い男の子でびっくりする お姉さんという呼び方も新鮮で戸惑いも残る 悪いことばではないのだけれど エマ「よろしくね!アーニー 明日には晴れてくれたらいいんだけど じゃないと皆に心配かけちゃう」 優しげに笑う私よりも小さなアーニー 彼にも大切な家族がいて待っていてくれるのだろうと思うと胸が痛くなる アーニー「そうだね…明日には晴れるといいね きっと心配いらないよ」 子供にしては凄く落ち着いていることに とても感嘆してしまいそうになる どうしたらこの子みたいに私はなれるのだろう? と羨ましさのような感情が溢れていた エマ「ありがとうアーニー ちょっと元気でた あっ…そうだ。私、お腹すいてたんだった 食事ー!」 思いたてば音がするほど早く美味しそうな香りのする食事の前に立つ アーニー「え?ええー エマお姉さんって食いしん坊なんだね」 美味しい料理を頬張っているとアーニーの驚いた 声が聞こえてきてモシャモシャとしながら答えて エマ「だって…おいひいもん お腹すいて死んじゃいそうだったし」 なんか良くないかも?とは思ったけど それは美味しいという感情のなかに消えた エマ「…凄いね。こんなところで温かい食事 があるなんて どうしてだろう?」 ふと、疑問として浮かび上がる 助かったのは事実だけど偶然? と考えるのも何か違和感が残ってしまう アーニー「んー。わかんない でも、エマお姉さんは元気というか おしゃべりが好きなんだね」 その言葉にびくりと肩が震える ??「いつも賑やかねぇ どうしてこんなに物騒で皆辛いところで 陽気でいられるのかしら…」 ひっそりと私の耳に届く村の声が痛かった 考えなしじゃない、いつも頑張ってるよ? そう言っても届かないのは分かっていた 母が死んでからずっと守ってきたけど 私の居場所はここになかった ひとりぼっちになっただけ 隣にいたのは鳥たち、獣たちのみ それでも守りたいもの 守らないといけないと 思う人たちだった エマ「ちょっと疲れちゃったみたい 部屋に帰ることにします 先にすみません、失礼します」 返事も待たずに走り去れば私の前には 先ほどの明るさとは対称的な 夜闇が広がっていた エマ「……逃げてきちゃった なんでだろ。ここには誰も知ってる人なんていないのに。やっぱりダメだなぁ」 自分に苦笑すれば疲れた足取りでゆったりと 空いている部屋への扉を開けて中に足を踏み入れた
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