ゴーホーム

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寒すぎだって。 部活の帰り道、自転車をこいで帰宅する僕にこの1月の寒さは堪える。ネックウォーマー、手袋、ウィンドブレーカーを着ているのにまだ体が冷たい。この間なんか帰り道に寒すぎて首を縮めていたら酷い肩こりがした。 時計をチラッと見る。16時52分。あと10分ぐらいで家だ。もう40分もこいでいるなぁ。 最初の方こそ家まで50分なんてきつい! なんて思っていたが案外慣れるもんだな。最近は何も思わない。無心でこぐだけ。横を見ると大型スーパーの駐車場入口に誘導員が四人も立っていた。そんな人数が入らないことは明白なのだが。本当に無駄な雇用だなと思う。この時間帯はランニングをする人が多い。まあ帰宅した会社員が夜走るのは夜しか時間がないからだろう。ほかのランナー、学生やおじいちゃんが夜に走るのは僕もそうなのだが走っているところを見られたくないからだとふんでいる。見られたところで特に何も無いのだが何故か昼の明るい時間帯ははばかれる。僕はよくそういう事がある。 こぐ。こぐ。こぐ。寒い。 こぐ。こぐ。こぐ。寒い。 家に着いた。玄関を開ける。生温かい空気を感じる。ストーブの匂いも話にやってくる。 「おかえり。」と母。「ああ、ただいま。」僕はいつも真っ先に夕食のメニューを確認する。そして食べる。寒いところから急に暖かいところへ行くと手先や足先に血液が巡りすぎて熱くなるのを感じるのは僕だけではないだろう。かじかんだ手にだんだん力が戻ってくる。夕食は豚のマーマレード焼きだ。最近の僕のお気に入り。初めのうちは母さんの「寒かったでしょ?」や「今日のご飯は新米よ。」などと言われても無視する。とりあえず食べ物を体に取り込むことに集中する。十分程してから「この料理やっぱ美味しい!」とか「さすが新米やな。」などと話し始める。僕の夕食は20分ほどなので僕に話しかけるなら最後の10分で話しかけるべきだろう。僕は機嫌よく返してくれるはずだ。そして寝る。毎日食事ができたり暖かい家に住めることに幸せを感じながら。おやすみ、1月20日の「僕」バタン。
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