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【噂で聞いたぞ。お前千奈都と付き合い始めたんだって?】 同窓会の翌日、知らない番号からの電話に出ると第一声がこれだ。 『……渡辺だな。』 こんなこと言うやつは1人しかない。 しかし、怒ってかけてきたと思ったが声のトーンからは怒りを感じなかった。 【お前、もしかして中学の時から千奈都のこと好きだったのか?】 『いや、気になってた時期はあったけど好きになったことはなかったよ。』 【そっか……。】 『渡辺、どうしてかけてきたんだ? 俺に怒ってんの?』 その問いに沈黙が流れる。 【…………一言も話せなかったから悔しいんだよ! 羨ましいわ!】 ップーップーップーッ 『え?』 そのまま電話は切れてしまい、2回目以降かかってくることは無かった。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 「この度はご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。」 カフェの机に額を付けて、神崎は謝罪の言葉を口にした。 『いや、大丈夫。そんな変なことはしてないよ。』 「春香に聞いたら爆睡かましたって言ってたし、貴人に聞いたら訳わかんないこと話してたって言ってたから〜すみません……。」 お酒が入ってない神崎と会うのは、あれから初めてだ。 貴人から連絡先を聞いて、神崎の方から連絡をくれた。 日曜日の昼だから、私服を着てきているのだがふわっとしていて可愛い印象になっている。 「しかもさ、ポストに鍵入れててくれたってことは、わたし家まで秋山のこと連れてきたってことだよね? もう本当に何したか覚えてなくて……。」 あ、あのキスは覚えてないのか。 なんか残念のような良かったような。 そんな中途半端な気持ちになった。 『1個聞きたいことあるんだけど大丈夫?』 「ん、何???」 『俺たち、付き合ってる、でいいんだよね。』 「う、うん。」 『よかったーーーそれは覚えてたーーーー。』 「それはさすがに記憶があるよ!!!!」 『じゃあ家でのキスは覚えてて欲しかったな〜。』 「え、キスしたの?」 『した。』 「……ごっめん、全然覚えてない。」 『はあああああああああ。うそじゃん、ほんと覚えてないじゃん。』 「ごめんって……お酒って怖いね……。」 申し訳なさそうに眉を下げる神崎。 それさえ可愛いと思ってしまうのはもうすっかり神崎にハマってしまっているからだろうか。 『じゃあお詫びに今からの時間俺にください。』 「へ?」 『今から昼飯食べて、ちょっと買い物いって、夜は一緒に過ごす時間。 千奈都の時間、俺にちょうだい?』 千奈都の目がぐっとの大きく開かれて少し頬がピンクに染まる。 『……ダメ?』 「だ、……ダメなわけないじゃないですか……。 雄輝のお願い、断れるわけないじゃない……。」 10年分の隙間を埋めるように、俺は千奈都の手をしっかり握った。
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