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空高く掲げられた私の体はバランスを崩して反転した。
重力に逆らえず、迫りくる地面。厳つい殿方たちはイリュージョンのように居なくなっている。
もうダメ、大怪我必須だわ……!
「舞さん!」
どふん、と全身に衝撃がきた。
けど、わたくし、生きてる……。
本能的につぶった目を開けてみると、白いお花が見えた。それは、なんと蜜柑俵葱子さんの、おぱんちゅ。
「葱子さん!? どうして私の下に!?」
「だって、舞さんを助けなきゃって思って……」
葱子さんたら、両鼻から景気良く鼻血を吐き出して痛々しい。わたくしは、葱子さんのおかげで無傷で済んでる。
「葱子さん……なぜ? わたくし達、今日会ったばかりなのに……」
「だって、私、舞さんとお友達になりたいって思ったから。これからも、仲良くしてくれる? 舞さん」
ああ……。今日は朝から信じられないことばかりだったけど、今が一番信じられない。こんなに嬉しい事がある?いいえ、無いわ。
濡れたティッシュで鼻を拭く葱子さんをきつく抱きしめて、わたくしは感極まって泣いてしまった。
「嬉しい……! 葱子さん、本当? ああ、嬉しすぎて困るわ。そうよこれはきっと夢! 夢なんだわー!」
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