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昔は誕生日になると、パパとママもお祝いしてくれたのに、一人暮らしだとそうもいかないわ。プレゼントも今朝早く届いたパパからの動画添付のメールのみ。
「そういえば、なんの動画なのかしら」
メールに添付されたハートをタップすると、スマホ画面に子供の頃の私が現れた。
『舞ちゃん、なんてお願いしたの?』
ママの声。私の目線は、動画を撮っているママを見ているのね。ちょっと上目遣いの無表情で、今よりぽっちゃりして幼い私が、質問に答えた。
『十年後の私の言った願い事が、全て本物になりますようにってお願いしたのよ。十年後も、クリームたっぷりのケーキを貰えますようにって』
今から十年前って事?
私ったらこんな事をお願いしてたのね。
自分が何を願ったのかすら忘れていたのに、パパはちゃんと覚えていてくれたのね。
画面が切り替わり、今現在のパパとママの動画になったわ。
『舞ちゃん、お誕生日おめでとう! ママ達、そっちに行けないけど、とっておきのプレゼントをパパが作ってくれたわよ〜』
『舞が十歳の時のお願いを叶えるために、パパは頑張ったよ』
二人が喋ったかと思うと、動画はそれで終了した。
手を振る動画の二人に、私もつられて手を振り返しながら思った。十歳の時のお願いを叶えるって?
どういう事?
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