ステキな誕生日

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 それから数時間後。  パパの謎の言葉は、深夜0時を過ぎた時に解明した。  日付が過ぎた瞬間にお祝いメッセージをくださる友達なんていない私は、夜9時には就寝した。  午後10時から午前2時までの間は成長ホルモンの為にも熟睡状態でいた方が良いって、同じ授業を選択している女生徒達が隣で話してたの。そして平均睡眠は8時間が理想的とも。  だから私は毎日午後10時から6時までは、がっつり寝る事にしている。  しかし今日に限って、耳元で、突然時報が聞こえたわ。  “タダイマヨリ 午前 0時 0分 0秒 ヲ オシラセシマス”  ガチャンゴンッ!  ザッザッザッザッ  “ピ・ピ・ピ・ポーン ”  はっぴベチャッ! 「べふっぶっ!」  電子音と同時に聞こえた雑音。  その後に「はっぴいばぁすでぃぃい」と、多分、言っていたわ。  多分というのは、その声がきちんと届く前に、私の顔面には何かがベッチャリと張り付いていたから。  不意打ちの襲撃は心臓に悪いわ。  そっと目を開けると、目の前は真っ白。  落ち着いて起き上がると、お腹へスライドするように、顔に張り付いていた物体が落下していく。  口の周りを舐めると甘い。このコクは油脂分48%。濃厚でいい生クリームだわ。 「あ、ああ、荒押(あらおし)さぁん、お、お誕生日、おめでとうねぇ……」  常にバイブレーション機能が付いているこのお婆ちゃまは、大家の幕の内弁子さん。  はにかみながら、おでこに張り付いた苺を私の口へと突っ込んでくれたわ。 「弁子さん、ありがとうございます」  鼻に封入されたクリームを一息で押し出し、私は苺を咀嚼した。この味、あまおうかしら。いえ、この酸味はあきひめね。
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