ステキな誕生日

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 とりあえず大学への道すがら、私と蜜柑俵葱子さんはお互いの話をした。彼女も私と同じ大学の同じ学科で、同じ授業を選択していてよくよく聞けば講義の席も度々お隣同士になっていた。 「まあ。素晴らしい偶然ね。今まで気付かなくて不思議」 「ええ本当に。荒押舞さんの存在に全く全然ちっとも気付かなくて……」 「まあ。うふふふ」  二人で大学まで行くのって、まるでお友達みたいだわ。私、こういうなんでもない事に憧れていたの。  これも何かのご縁だわ。ここらで一丁言ってみようかしら。「わたくしとお友達になってくださらない?」って。  隣でシャドウボクシングに勤しむ葱子さんに、私は意を決して告白した。 「あのね、わたくし、たくさんのお友達が欲しいなって思ってたの」  ドキドキする。でも勇気を振り絞って言ったわ。  緊張しすぎて、動悸が凄い。まるで地響きのように鳴ってる。  いえ、違う。これは私の心臓の音じゃない。  足元から細かい振動が伝わる。遠くから雄叫びのような叫び声も。 「あっ舞さん後ろ……!」  葱子さんの声につられて振り返ると、そこには沢山の人、人、人。  そして、その人達の手にはクリームたっぷりのケーキ。 「お誕生日おめでとうございます! お友達になりましょぉぉぉお!」
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