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「あっ舞さん! あっ、あぁ、ああああああ!」
葱子さんの狼狽えてる声が聞こえるわ。
それもそのはず。今私はたくさんのクリームが投げられているのだから。
「あばっ! びださま、あぶっ! あでぃがど、どぶっ!」
※あば、皆様、あぶ、ありがとうござ
注釈を付けなければならない程、私の言葉はクリームに埋もれていた。本能的に閉じた目をこじ開けると、予想通りの真っ白。目を開けたら白。雪国でもここまで白にはならないわ。一体なにこれ。何プレイなの?
全身真っ白になりながら、私は胴上げをされた。
下からは、「わっしょい! わっしょい!」と同時に「友達! 友達!」の掛け声も聞こえてくる。
ああ、たくさんのお友達、ありがとう。
「こんなたくさんのお祝い、初めてですわ……。後は、素敵な殿方がいてくれたら……」
私は何も気にせずに、呟いてしまったの。クリームに埋もれた小さな声なのに、お友達の皆様はその声を聞いて、胴上げを瞬時に辞めた。
「ぶふぉっ!」
べちゃっ!と大量のクリームが地面に投げ出された音と、強い衝撃。突然の出来事って、認識するのは難しいわ。
葱子さんが濡れたティッシュで顔を拭いてくれて、初めて地面に落とされたって分かったの。
そして今度は、地面についた手から地鳴りが伝わる。それと同時に、今度は戦国時代の合戦ような野太い雄叫びの声。
「あっ舞さん! あっ、あぁ、ああああああ!」
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