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そしてまた下からは「わっしょい! わっしょい!」と共に「彼氏! 彼氏!」の掛け声。たまに「イャアオ!」も聞こえるわ。
投げ出される風圧で、私にコーティングされたクリームがみるみる落とされていく。トイレに設置されているエアータオルを全身に受けるとこんな感じかしら。殿方たちも安全を考慮して足元から落下するように計算してくれてるから、必然的に私のワンピースは全て捲れて、チューリップのようになってしまってる。
今更ながら、ワンピースを着た事を後悔したわ。いえ、ワンピースを後悔っていうより、インナーのシャツとタイツの色を銀色にしてしまった事を後悔。一番保温機能が高かったからって、これじゃあ持ち手にホイルを巻いたフライドチキンだわ。
ちょっと恥ずかしい。でも顔は隠れてるからまだマシかしら。
……ちょっと待って?
先ほどの事を考えると、これって最後は落とされるのよね?
さっきの胴上げでは大した高さではなかったから助かったけど、今のこの高さ、落とされたらやばいわ。複雑骨折じゃ済まされないわ。
そう思ったら、震えが止まらない。
どうしよう。いくら精悍な殿方たちでも、いつかは体力の限界がくる。やっぱり殿方を所望するにはまだ早かったんだわ。お友達も、たくさん欲しいなんてお願いは、きっと図々しかったんだわ。
迫りくる体力の限界に怯えながら、私はつい叫んでしまった。
「た、たった一人で良いから、お友達が欲しい!」
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