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 挙動不審な梨郷に、ひとりの女性があからさまに身を強張らせる。 「あ、あの、目。目が、み、見えなくても、漫才は、たの楽しめるからっ、だから……その、わ、悪気はなくても、そ、そんなふうに見ちゃ、だ、ダメだよ? あ、おこ、怒ってるんじゃないよ?」  一生懸命に身ぶり手ぶりで説明する梨郷に、最初は引き気味だった女性達も、申し訳なさそうな顔になっていく。 「ごめんなさい。でも、ほんと悪気があったわけじゃなくて」 「わ、わか、ってる。わかって、ます」  彼女達の気持ちも、そして明鈴の気持ちも、梨郷には痛いくらいわかるのだ。人と少し違う。ただそれだけのこと。ほんの少し違うだけで、人はそれを排除したくなる。同じ人間なのに、自分とは違うと認識したくなる。輪から弾きたくなるものなのだ。  でも、梨郷はわかってほしかった。形は違っても、中身は違わないのだと。ここに集まっているのは、みんな虹色キャラメルが大好きなファンなのだと。梨郷は、その輪から明鈴を弾きだしてほしくなかった。 「りんごうさん」  気付けば、明鈴が後ろに立っていて、その横で高梨が苦笑いを浮かべていた。 「ありがとう。わたし、ますますファンになりました! こんなに優しくしてもらえたの、初めてかもしれない」 「おまえ、今日すごいじゃん。なんか悪いもんでも食った?」 「が、学校、サボっ、たから」 「あー、それでイキってんだ?」 「そ、そう、い、イキってる」
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