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僕は柔らかい表面にバウンドしながら降り立った。
前方には丸々とした山が二つ並んで聳えている。
香色の全表面に皺皺と言うのか、網状の模様が入っていて樺色に染まった天辺は中央に丸い突起物がある。
そう言えば、僕が今、立っている表面も香色で網状の模様が入っている。
否、模様でも網でもなくて溝だ。
今迄、時々躓いていたのもその為かと気づいた僕は、気を付けながら前へ進んで行き、山の谷間まで来た時、何故か、もりもり元気が出て来て無性に山に登ってみたい気になった。
それで、どんどん山を登って行くと、表面が地面より柔らかいことに気づいた。
何やらふわふわしていてスポンジのようで、とても心地良い感触だ。
それに仄かに好ましい香りが漂って来る。
だから僕は山を登る間、花畑にいるように快い気分になって天辺の樺色に染まったイボイボの地に立った時には頗る爽快な気分になった。
そして一段と芳しくなった匂いに誘われながら中央の丸い突起物に触れたくなって近づいて行き、手で撫でてみると、地面が少し揺れた。
地震かと思ったが、直ぐ収まると、僕はおいしそうだったので突起物をぺろぺろ嘗めてみた。
すると、さっきより激しく地面が揺れたので僕はびっくりして突起物から慌てて離れて下り坂を急いで滑り降りて行った。
麓に来ると、揺れは収まっていた。
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