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退院の日、私の足取りは軽い。
今日から新しい人生の始まり。
妹は相変わらず寝たきりの状態だ。
このまま目を覚まさず、植物状態になる可能性もあるとか。
だからって同情なんてしない。
今までの私に対する仕打ちを考えれば。
「香菜!」
えっ?
病院を出てすぐの所で、知らない男性にそう声をかけられた。
香菜は妹の名だ。
ということは、私のことを妹だと思って呼止めた?
妹とお付き合いしていた男性だろうか。
背の高い、なかなかの好青年な印象の男性だ。
男性は駆け出したかと思うと、私に抱き付いた。
「退院するのをずっと待っていたよ。」
彼がそう耳元で囁くのと同時に、腹部から焼けるような痛みを感じた。
なん・・・・・・で・・・・・・。
ドクドクと溢れ出す血。
私の腹部は、彼にナイフのような物で貫かれていた。
訳がわからず、混乱しながらも意識は遠退いていった。
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