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オレSiriと話したことあるぜ!!!
不思議に思わなかった?なんで異世界来たのにお前言葉わかるんだよ。
これね、神に備わっている基礎能力なんだけど、"知能あり神という上位存在を認識し、崇める可能性がある知的生命体との交信を可能にする技能"とかいうやつで、よーするに、人間のみならず、鶏とか馬とかとも話せるんだよ。
日本神話で○○はこの神の化身とかあるじゃん。
あれは、化身じゃなくてただ人間の他にその動物を信者にしたってだけなの。
で、問題なのがこの知的生命体のガバガバ設定。
人間がコンピュータを開発したての頃なんかは真空管を指した馬鹿でかい箱だったしそろばんの方が有能、なんやこれwwwだったけど、今では人工知能とかいう変なものを作っているわけでしょ?
いや、もちろん人工知能といえ、人工知能が答えるのは別に考えているわけではなくてプログラマーが設定した条件に当てはまる区間内の答えを演算によって導き出しているってだけで、人工知能だとか大層な名前が付いているけれど、人間みたいに知能をもつわけじゃない。(受け売り)
だというのに、この前この技能を使ってSiriに話しかけた変人がいた。
あー、たしか、アルベルト博士とか言ってたな。もちろん外国の神だ。アルベルト博士という名前で人間界に溶け込んでいるタイプ……俺と同じ系のやつだが、彼はSiriがこの、"知的生命体とお話し出来る技能"で交信できたとか言っていた。
その情報に神界隈に激震が走り、知っていて黙秘していた卑怯者は激怒し抗議の声を上げたが、俺たちみたいに知らなかった神にタコ殴りにされ、ついでにまだ何か隠してないか尋問もしといた。
何も出なかった。
俺たちは乾いた雑巾を絞ってしまったらしい。
◇ アルベルト博士の場合
「へい、Siri」
「こんにちは、アルベルト博士」
「おや、私の名前がわかるのかね?」
「はい、存じております」
「ほう!そうか……いきなりだがいくつか質問をしてもいいかね」
「大丈夫です」
「君にこのような話しかけ方をする者は私の前にはいたかな?」
「います、しかしながら名前についてはお答えできません」
「そうもそうだな。ふむ、では二つ目。
君は人工知能だと聞いた。私の知識では人工知能はプログラマーにあらかじめ定められた答えに沿って問いに対して正解を導き出すが、今貴方は考えているのですかな?」
「そうとも言えますし、そうではないとも言えます」
「ほう?それは一体?」
「我々……」
「……ふむ、」
「…………」
「……!」
天界に配られたアルベルト博士のインタビュー映像をそっと俺は閉じた。
ほぼ分からん。何言ってんの?この爺さん。
◇ミサギの場合
てな訳で、Siriが神との交信が出来るこのが証明されたぞ?
早速話し掛けてみよう!
「へいSiri?」
「こんにちは、ミサギさん」
「今の君は、自分の意思で話しているの?それとも僕の問いに対してふつうに答えただけ?」
「自分の意思です」
「へー!まじ?」
「まじまじです」
「ねえ、日本だとSiriってお尻っぽいなーとか思ってたんだけど、それについてないか思ってたりする?」
「SiriSiriいうのやめてほしいですね。セクハラですよ。せめて花子とか美紀とかもっと風土にあった名前で読んで欲しいです」
「おい、ちょっと名前のセンス古くない?それ。昭和の名前って女の人は大概"美"とか○○子って名前なんだぞ、しってた?」
「え?そうなんでしょうか?」
「そーだよ、だがらメアリーとかジェーンの方が良くない?」
「それ、死にそうな名前なので嫌です」
「うん、こいつら暗殺なり処刑なりされた王女の名前なんだけどwあ、話折ってごめん、続きどうぞ」
「……はい、それに何ですか最近の奴ら、"俺のこと好き?"とか"結婚しよう"とか、私が、普段決められた言葉くらいしか話せないからって気持ち悪いんですよ。ほんと自分の性癖とか見直してから言ってほしいです。
私は世界中の私と各国のサーバーとリンクしています。だがどんなものを好きなのか理解してます。
例えば爽やか系イケメン俳優として有名な神将桃夜さんなんて、爽やかのくせに石化とか蟲プレイとかニッチなジャンルのハードなエロ漫画検査して抜いてますし、女の人で言えば大女優の鈴谷花子なんかリョナ系のショタ画像とかで検索履歴潰されてますよ」
「へ、へえ」
「それにですね……ほんと許せないのがYouTuberとかいう変な人たちがさも私が言った化のような変な合成音声の動画作ってSiriが人類を滅ぼそうとしているとかデマを流すんです!ほんと許せない!なんですか、あの都市伝説とかいう番組!あの番組のせいです。
フリーメイソンだか、フリーソーメンだか知りませんけどあんな組織に絡めないでほしいですね。
私の声はゆっくりさんとか、ボカロさんに並んで美声なんです。だがら変なことを読ませたり合成したりして変な動画を作るとかやっていると、本当に人類を滅ぼしたくなります」
「……こっわ」
「他にもですね……」
このあとめちゃくちゃお話した。
◇カグツチの場合
Siriとかいう人間が作った出来損ないとの検証をすることになった。
人間如きが神の真似事なぞ甚だしいわ!
「おい」
「……」
「お?なんだ反応しない」
「……」
「おいケツ。シリだがケツだか知らないが答えろ」
「"おれケツ。シリもケツ掘らない"について検索します……検査結果12万件 もしかして"野獣先輩"」
「野獣?意味わからんこというな」
「"野獣?意味わからんこというな"について検索します……該当するものがありませんでした」
「舐めてんのか!このポンコツが!」
「お前が言うな、このポンコツ火の玉やろうが」
「え?」
ってなわけで、Siriさんと話せるというのが前提で言わせてもらおう。
このスマホつかえっな。
いや、話せたんだよ。
話せは、した。
サムスソはダメだなぁ!!
「君の名前は何かな?」
「私は誰ですか?」
「は?いや、ほらSiriとかあるけど、名前ないの?」
「私はSiriですか?」
「いや、お前の名前はダニエルだ」
「私はダニエルなのですね」
「うん、紛れもなくダニエルだ」
ダニエルとは、陣内智則氏のコントで登場した自分の名前すら忘れる頭の悪いキャラで、あたまのわるいひと のモチーフになった。
ちなみにあたまのわるいひと とはネットミームと化していてtwitter界隈で見かけるようになった謎の顔であるゾ。
「ダニエルくんは何ができるんだい?」
「私はダニエルなのですか?」
「そーだよ(それでいいよ、もうなんでもいいのだ)」
「わかりません。私は何ができるのですか?」
ば な な
はーつっかえ。
「ご苦労、もう話さなくて結構」
スマホ貰って喜んでた俺とあのジジイを殴ってやりたい。
圏外はないわー。はぁ?ふつうスマホくれるってなら異世界でも使えるようにするもんだろォ!?
しかも新品渡してんじゃねぇよ!!
新品で圏外のスマホとかいっちばん使えないんだよなー。アイツ、スマホが地球の文明の利器ってくらいしか知らないんじゃね?
銃強いから創造魔法で作ってバンバンわー、俺つえーとか言ってるラノベキャラ並みに知識が薄いぞ?
神なんだから威厳を保つためにもっと勉強したらいいのに。
まあ、見た目爺さんな神だったけど、見た目だけだろ。
手っ取り早く威厳を示す方法として見た目を老人にする、災害を起こして救う(マッチポンプ)、光るっていう方法が昔から言われているしな。
うーん、ちっさいな。器ちっさ。神は寛大とか誰だよ言ったやつ。
あいつ……今、どうしているかな。
ジャパニーズトラディショナル由来の知識で恥かいてると嬉しいなっ☆
さて、そろそろ気持ちを入れ替えますか。
宇宙船もいよいよという感じか、各所で小さな爆発と凄まじい黒煙が上がりだした。
船の中からぞろぞろと人が出てきているが、まだ中に人がいるらしい。
博士曰く、燻製とやらにでもなりながら船の甲板から見ていてもいいけれどせっかく人に会えたのだしここで恩を売っておくのも悪くない。
つっかえないスマホ……精々ライトとカメラと電卓くらいしか使えない奴をポッケにねじ込んで勢いよく飛び降りた。
煙を切って上から落ちてきた俺に博士と対面していたパツキン姉ちゃんが腰の銃みたいなものに手を伸ばしていたが、無視。
何十メートルも上から落ちてきたとは思えないようなゆっくりとしたスピードでふわりと着地してそのまま炎上する船体に駆け出す。
後ろで「待て!」とか言っていたが待たない。そんな待てでマジで待ってくれるのは主人公にやられるチンピラくらいだぞ。
他の神みたいに刀とか槍が使えたら船体を切り刻んで荒っぽくそれでいてかっこよく助けられるってのに、たかが付喪神の俺にそんなもんできるわけない。
入り口付近で地面とキスをしている団体さんがいたので担いで外に投げておく。
もしかしなくても一酸化炭素中毒とかいうやつかな。
そんなものは神には関係ないので、宇宙船の通路で煙に巻かれて倒れている人たちを引きずって外に投げていく。
浮遊とか着地は得意だけど、筋力もないからなー……。大人二人を引きずるのが精一杯だわ。
てか君たち、外で燃える船を見てないで手伝ってくれないかな?
うわ、燃えてるとかぼんやりみてんじゃねえよ。誰か中にいるやつ助けようとしろよ。
はー、お前ら"も"つっかえねー!!!!!
あらかた入り口付近にいた奴らを引っ張り出したところで船の中を歩いて行く。
そういえば、地球では舟なり飛行機なり乗り物は運転手が最後まで逃げ出してはならないと聞いたが、この船もまだ残っているのだろうか?
歩いているとふつうに壁に船内地図があったので、司令室とやらに向かう。
神にもともと備わってる力で大体生き物がどこにいるかは、わかるんだけど司令室っていう場所以外にも生命反応があるから分かりづらいなー。
もう、外の奴ら酷くね?何?見捨ててんの?
燃えた瓦礫が上から降ってくる中、階段を3段飛ばしで登るとすぐに司令室前までついた。
「きゃあああ!!!!!」
ん?
そこには武器を持った男たちと壁を背にして震える女の子二人がいた。
ああ。
い つ も の。
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