10人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
大村信一郎の一分間
目が覚めると、周囲は薄暗かった。夏なので当たり前だが、暑くそして妙に群れている。だが、そんな事よりも気になったのは、目の前にある艶めかしいカーブを描く白。
まさかとは思うのだが、これは女子のパンツという奴では無いだろうか。丸みとボリュームを加味して付け足すなら、恐らくこれは尻側だ。
パンツが丸みを保っているという事は、中身が入っている。そして、薄暗いのが夏用スカートのせいだとして、可能性は二つ。
マネキンが乗っかってきたか、女性物の尻に敷かれているか。
そして断言しよう。これはマネキンなんかじゃない。
なぜならまず柔らかい。そして、温かみもある。
俺の両頬に触れる感触は、女性物の太腿に相違あるまい。
という事は、女性物の尻に敷かれている?
だがなぜ?
今日の行動を思い返し整理してみよう。
まず、今朝の俺は図書室に行くために歩いていた。
夏休みの数少ない開放日を無駄には出来ないからな。
近道なので裏門から入って、部室棟の横を抜けようとした。
そうだ……そこで「きゃあ助けて!!」という声を聴いたんだ。
当然、俺は立ち止まった。
声は上から。そう判断するのに五秒とかからなかったはずだ。
そして俺は上を見あげた。
視界に入ったのは足とスカートとパンツ……つまり女性物の下半身だった。不覚にもキョトンとしてしまった。
我に返った時には、もう落下が始まっていた。
最初のコメントを投稿しよう!