大村信一郎の一分間

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大村信一郎の一分間

 目が覚めると、周囲は薄暗かった。夏なので当たり前だが、暑くそして妙に群れている。だが、そんな事よりも気になったのは、目の前にある艶めかしいカーブを描く白。  まさかとは思うのだが、これは女子のパンツという奴では無いだろうか。丸みとボリュームを加味して付け足すなら、恐らくこれは尻側だ。  パンツが丸みを保っているという事は、中身が入っている。そして、薄暗いのが夏用スカートのせいだとして、可能性は二つ。  マネキンが乗っかってきたか、女性物の尻に敷かれているか。  そして断言しよう。これはマネキンなんかじゃない。  なぜならまず柔らかい。そして、温かみもある。  俺の両頬に触れる感触は、女性物の太腿に相違あるまい。  という事は、女性物の尻に敷かれている?  だがなぜ?    今日の行動を思い返し整理してみよう。  まず、今朝の俺は図書室に行くために歩いていた。  夏休みの数少ない開放日を無駄には出来ないからな。  近道なので裏門から入って、部室棟の横を抜けようとした。  そうだ……そこで「きゃあ助けて!!」という声を聴いたんだ。  当然、俺は立ち止まった。  声は上から。そう判断するのに五秒とかからなかったはずだ。  そして俺は上を見あげた。  視界に入ったのは足とスカートとパンツ……つまり女性物の下半身だった。不覚にもキョトンとしてしまった。    我に返った時には、もう落下が始まっていた。
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