大村信一郎の一分間

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 ……む、尻が浮いた。  動くつもりか。  よし、ここは気絶したフリだな。  もしも真っ当な女子なら、助けようとしてくれるはず。 「あ、わ、ちょ……嘘でしょ……」  声だ!! 下半身だけでは声を出すことは出来ないはず。これは……女子か? 少し……わざとらしい感じもするが。 「きゃあ、私ってば何てこと……を……あれ?」  何故途中で言葉を止めたのか……。  はっきり言ってその「あれ?」は怖い。 「曲がって……」  曲がって? 何がどう曲がっているんだ?  痛みを自覚していないだけど、手足のどれかがおかしな具合に曲がってしまったのだろうか。  何だ……。なぜ何も言わない? 何かしら動いている気配はあるのに。  目を開けるべきか。まさか止めを刺そうとはしていないよな? 「あ……あの、ズレてますよー」  え、ズレてる?   やはり手足、もしくは首の関節がズレているのか?  それならば呼びかけるよりも、先生か救急車を呼ぶべきだ。  君が女子ならばそうして欲しい。いや、そうするべきだ。
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