狩り

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「聞いたか?」 「何を?」 「大沢で老イタズが死んでたそうだ」 「ほう、渡り(居着きでない個体)か?」 「どうやら、そうみたいだがね、変わったことにイタズ、首を掻っ切られて死んでたそうな」 「まことか? 信じられんなぁ、老イタズとなれば、かなりデカい、それをしとめれる獣なここら辺にいねぞ」 「あぁ、いるならとんでもねぇバケモノだ」  その時は、なんの意味もなく聞き流していたが、こういった噂話が日を重ねるごとに増えていった。 「おい! あおから(カモシカ)の骨、見つかったど」 「珍しくもねべ」 「んにゃ、これまた不思議でイタズではねぇみてぇだ」 「ん?」 「見た人がいるんだど、そいつわ、人の姿をしていながら、全身毛むくじゃらで、蛇のような目した牙を持つ怪物らしい!」 「はぁ⁉ それな、ただのバケモノでねえが!」  その話を聞いたとき、うたた寝をしていた私は飛び起き、二人の会話に急いで混ざる。 「そ、その話を詳しく聞かせてください!」  いつも無気力に過ごしていた私が突然現れたのだから、祖父もご近所さんも驚いた。  詳しい話をまとめるとこうだ。  最近、得体の知れない何者かが山で動物を狩っていると。  しかし、眉唾のような情報ばかりで信憑性がまるでない。  時折、夜になると悲しそうな遠吠えが聞こえてくるが、山犬でもなくどこか不気味な声色であると。 「も、もしかして」  私は思った。  きっと彼だろうと、あの夜にどうにかして抜け出し、一人で森を彷徨っているに違いない。  そして私は決心した。 「おじいちゃん! お願いがあります」  
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