貴方へのランチボックス

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ピピピピピ。 しんと静まり返った寝室に携帯のアラームが鳴り響いた。 私は布団をまさぐって携帯を見つけだすとアラームを停止した。 薬指につけた結婚指輪が携帯に当たってカチャリと音を立てた。 「今何時?」 背中越しに卓也の声がした。 「五時半。 ごめんね、起こしちゃった?」 返事もそぞろに、卓也は再び眠り始めた。 良かった。 ホッと息を撫で下ろす。 まあ、無理もない。 最近卓也がハマっている昔のドラマを二人一緒に夜遅くまで観ているせいで寝不足が続いている。 体が重くてすぐに立ち上がれない。 私はベッドが揺れないようにそっと体を起こした。 座ったまま目を閉じて眠気と戦う。 えっと………、今日のお弁当は何にするんだったっけ。 そうだ。 さつまいもが安かったから大学芋にしようと思ってたんだ。 あと一緒に揚げられるように鶏肉もタレに漬け込んでるんだった。 朝食の用意もしながらあと何品か用意して果物を切ってたら時間は…。 もう起きないと間に合わない。 私は肩で大きく息を吐くと、伸びをしながら立ち上がった。 パジャマから部屋着に着替えて軽く身支度を整えると、すぐにキッチンに向かった。 お弁当を冷ます時間も考えると自分の支度は後回しだ。 大丈夫。 卓也が出勤してからメイクを始めてもパートには十分間に合う。
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