第4章「閉じられた空間で、交錯する想い」

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「だけど、そんなのって……」 『優先されるのは、いつも仕事の方で……私のことは後回しで……』──そう話していた彼女の言葉が思い出された。 「ああ、情けないよな…」 鷹騰社長が自嘲気味な言い方をして、 「……だが、彼女をうまく愛してやることができないんだ……」 息をついて、青に変わったシグナルにアクセルを踏み込んだ。 「私も、同じなのかも……」 ようやく涙が抑まってきて、ぽつりと口にする。 「同じって、何があったんだよ? あんなところで泣くとか……」 「……うん…」と、ひと呼吸を置いて、「……振られたの、彼氏に…」と、打ち明けた。 「彼氏って、あの時のか?」 鷹騰社長が横目に私を一瞥(いちべつ)する。 「そう…前にエレベーターで会った、あの彼に……」 「なんで別れたんだよ?」 変わらないストレートな口ぶりに、どうしようもなく心が惹かれてしまうのを感じる。 「こないだのことですれ違ちゃったから……」 「こないだ?」 私の答えに一瞬考えるような間があった後、「ああ、俺とのキスのことか……」と、鷹騰社長が呟いた……。
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