第4章「閉じられた空間で、交錯する想い」

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春樹からは連絡がないまま、やがてひと月が過ぎふた月が過ぎた──。 彼とは一度しっかりと話をしなければならないとは思うのだけれど、ちょうど会社の決算期に当たり残業が続いたこともあって、なかなか会いに行くような機会も持てずにいた。 前に音信不通になった時には彼の方から来てくれたんだし、今度は私の方から行くべきだよね……それにそもそもの原因を作ったのは、私でもあるんだから……。 頭では理解していても、一度行きそびれるとやっぱり行きづらくて、仕事の忙しさにかまけて先延ばしにしている内に、いつしか三ヶ月余りが経ってしまった。 このまま別れるという選択肢も無きにしも非ずだったけれど、三年も続いた関係をうやむやに終わらせてしまってはいけないと感じて、仕事が一段落した週末の金曜日に彼のところへ行く決心をした──。
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