第4章「閉じられた空間で、交錯する想い」

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会社帰りに電車を乗り換えて、彼のマンションがある駅に着く。 改札口を出たところで行く前に連絡をしておこうと、カバンから携帯を取り出した。 そうしてまさに電話をかけようとした、その時── 目の前を通り過ぎる、見覚えのある背中を見かけた。 春樹だと気づいて声をかけようとして、口に手をあてて立ち止まる。 彼の隣には、女性が寄り添っていた。 「春樹……」 ぼんやりと呟いて、私のそばを横切る二人連れの姿を呆然と見つめた……。
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