第4章「閉じられた空間で、交錯する想い」

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「…春樹…もう無理なの…?」 「無理だろ…」 春樹が辛そうに目を逸らして「……終わりでいいだろう、俺たち」と、背を向ける。 「……春樹……」 返す言葉も見つからず、立ち尽くすしかない私に、 「おまえとはもうやり直せない…。さんざん心配した挙句の浮気って、俺の身にもなってみろよ…」ハァ…と短いため息を吐いて、「じゃあ…な」と、春樹が離れて行く。 棒立ちで唇を噛み締めたまま、自業自得だと思う……。 どうしてもっと早くに、彼の気持ちをちゃんと考えようとしなかったんだろう……。 彼とは3年も付き合ったのに、こんな形で終わってしまうことがひどくやるせなかった。 遠くなる彼の背中を追いかけて、駅の外へ走り出る。 だけど、彼女と連れ立って歩いて行く彼が目に入ると、もう追うことはできなかった。 駅ビルの外の壁に力なく寄り掛かって、堪え切れずに溢れ出す涙に両手で顔を覆った。 私がいけないのに、何を泣いてるのよ……。 泣いたってもう春樹との関係は戻らないし、私が犯した過ちも取り返しはつかないのに……。 (バカだ……)と、思う。 自分は救いようのないバカだとわかっていながら涙は全然止まらなくて、顔にあてた手を離すことはできなかった……。
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