第4章「閉じられた空間で、交錯する想い」

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「俺のせいでなんて、悪かったな…」 「ううん……」と、首を横に振る。 「……私だって、悪かったから……」 「…そう、か…」 「…うん…」 会話が止まり沈黙が流れて── 「……俺がおまえを部屋に連れ込んだりしなければ、彼氏とうまくいってたんだよな…?」 あの日の出来事を気遣う彼に、「そうだったのかもしれないけど……」と、応える。 「……悪かったな」 繰り返される言葉に、「…………違う」と、首を横に振った。 「違うって、何がだよ?」 訊き返して、側道に車を寄せて停めると、 「話したいことがあるなら、俺に言ってみろよ?」 いたわるように聞こえる彼の低く抑えられた優しげな声音に、「……うん、」と、口を開いた──。
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