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バスルームを出ると、腕を広げて待ち構えていた彼にふかふかのバスタオルで包まれた。
「……自分で拭けるってば」
「俺がしてやりたいんだよ」
バスローブを纏った彼に、タオルに包まれたままで横抱きに抱え上げられる。
ベッドの上に身体が下ろされると、はだけられたバスローブの胸元にぐっと抱え込まれた。
「……こんな風におまえといると、和むな…」
仰向けに寝転がった彼が天井を見上げて言う。
「…和むんですか?」
「ああ…和む」彼の口からふぅーっとひと息が吐き出される。
「……和むなんて、そんな言葉はあんまり似合わない気がするけど。……あなたは、いつも忙しそうにしている印象だから」
彼の肩に頭をそっともたせかけて言う。
「……そうか? これからは仕事も多少はセーブしていこうかと思ってる。今まで、忙しすぎたからな……。
……事業もだいぶ軌道に乗ってきたことだし、仕事の量を控えておまえとの時間を作るようにするよ…」
「…いいの?」と、尋ねると、
「ああ…忙しすぎるのも考えものだしな…」
肩へ預けた私の頭を腕に抱いて、
「……それにおまえといるこの時間は、悪くはないからな…」
そう優しげに口にして、いつにない穏やかな表情でふっと柔らかく微笑んだ──。
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