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それは、鷹騰社長との付き合いがスタートして、三ヶ月余りが過ぎた頃だった──。
お風呂から上がって自分の部屋でくつろいでいると、ふいに携帯が着信音を鳴らした。
聞き慣れたその音に、一瞬びくっとする。
間違えようもない彼のために設定した特別な着信音に、まさかと思いながら画面を覗くと、そこには……
「川浪 春樹」の名前が表示されていた。
「春樹……」今になってなんだろうと感じる。
しばらく電話に出るのをためらったけれど、なかなか切れずにいるのに、何か話があるんだろうかと通話ボタンをタップした。
「……舞か?」
スピーカーから懐かしくも感じられる声が響く。
「うん……。どうしたの、春樹……何か、話があるの?」
かつての駅でのシーンが蘇り、歯切れが悪くなる私に、
「……元気にしてるか? おまえ…」
どこか優しげな声が返る。
「してるよ……」
答えると、喉元を切ないような思いがにわかに駆け上がった……。
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