第5章「最上階より、愛を込めて」

21/60
前へ
/238ページ
次へ
「……。……今度、俺と会ってくれないか? ちょっと話があるんだ……」 「だけど……」 彼とはもう終わったものだと思っていたし、今になって数ヶ月以上も前のことを蒸し返すつもりもなかった。 スマホを握りしめたまま、何も言えずに黙り込んでいると、 「急ぎで悪いが、あさっての土曜日12時に駅前のカフェで会いたいんだ。考えてもらえないか?」 春樹がそう畳みかけるように話した。 「うん……でも、私……」 言いよどんでいると、「そっちの事情を考えてやれなくて悪いが、俺もその後の予定があってな…」と、どこか切羽詰まったような口調で話した。 「そうなんだ……だけど、そんな急に何の話があるの?」 尋ねてみるけれど、「うん……」とだけ返して、 「会ったら話す。悪い……待ってるから」 そう言い残して、電話は切れた……。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5296人が本棚に入れています
本棚に追加