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「えっ、海外赴任…?」
突然のことに驚きを隠せないまま聞き返す。
「ああ。だからあのマンションも引き払うし、こっちに帰ることはもうあまりなくなるから」
「そう、なんだ……」
やっとそれだけを口に出す。そういえば彼は商社勤めで海外への転勤の可能性もあったはずとは考えるけれど、急な知らせにはやっぱり驚きが隠せなかった。
「……それで、おまえに会っておきたくなってな……」
「そうだったんだ……」彼と付き合っていた3年間の出来事が思い起こされると、喧嘩もしたけれど楽しいこともたくさんあった気がした。
「ああ…本当はだいぶ悩んだんだけどな。あんな大人げないことをしておいて、おまえに会わす顔もないような気がして……けど、日本にはしばらく帰れないと思ったら、最後におまえと会いたくなって……」
「……うん」と、頷く。
「俺も、おまえを裏切ったのは同じだからな、彼氏がいるのに無理言って来てもらってごめんな……」
「ううん……」と、首を横に振ると、また頭を様々な思い出がよぎって涙がこぼれそうにもなった。
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