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「うん、いろいろあったし……」
呟いて、カフェオレのカップを持ち上げて口に運ぶ。
「そうだな、いろいろありすぎて、本当の理由なんてよくわからないよな……」
彼の言葉にこくりと頷くと、「……なぁ、」と声がかけられた。
「……もしかして、おまえの付き合ってる相手って、鷹騰社長じゃないのか?」
不意にそう訊かれて、
「えっ……」
と、言葉に詰まった。
「相変わらずわかりやすいよな、おまえは」懐かしそうに笑って、「……そんな気がしてたんだよ」と、口にした。
「……気づいてたの?」
カップをソーサーへ置くとカチャリと渇いた音が鳴った。
「ああ……あの時、おまえの服から香ったのが、鷹騰社長とエレベーターで乗り合わせた時にしてた匂いと同じだったからな……」
「……じゃあ、やっぱり最初からわかっていて……」
彼への申し訳なさが改めて胸を込み上がった。
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