第5章「最上階より、愛を込めて」

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鷹騰社長の所有するバーで、カウンター席に並んで腰かけた。 彼女はカルーアミルクを頼み、私はいつもと同じドライマティーニをオーダーした。 「……彼とは、うまくいってるのかしら?」 グラスを軽く合わせた後で、そう問われて、 「……ええ、まぁ…」 と、まだ少し乗り切らない気持ちを抱えたまま、カクテルグラスを口に運んだ。 「……ドライマティーニ、気に入ったのね」 口を付けたグラスの中味に、彼女が目を留める。 こくっと頷いて、グラスを置くと、 「……ここで最後に話をした時にも、やっぱりあの人はそれを飲んでいて」 彼女が頬づえをついて、ふと呟いた。 「……マティーニを飲みながら彼の方から別れ話を切り出された時にね、そうなることはとっくにわかっていたような気がしたの…」 そう口にすると、手にしたグラスを紅くルージュの引かれた唇に傾けた。 「……私といても、あの人はビジネスライクな付き合いにしか思えなかったから……」 言って、ふっ…と小さく息を吐くと、「だからね……」と、私の顔をじっと見つめた。
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