第5章「最上階より、愛を込めて」

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「マスターのドライマティーニが飲みたくなってな…付き合ってくれるだろ?」 頷くと、「おまえと飲むのが、やっぱり好きなんだよ」なんて臆面もなく言われて、ボッとまた耳まで赤くなってくる。 「……好きとか急に言わないでよ…」 あんまりにも彼に翻弄されすぎな気がして、悪あがきとわかりつつ口にすると、 「……何、照れてんだよ。ここ、赤いぜ?」 耳たぶが指で摘ままれて、ふっ…と穴の奥に吐息が吹きかけられた。 「今夜はもう会えないと思ってたから、会えてうれしいよ…おまえに」 その上そんな甘いセリフを吐かれて、また「…ん」と耳へ口づけられると、一瞬でのぼせ上がりそうに頬は熱く火照った……。
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