第1章「始まりは、エレベーターの中で」

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駅の改札を抜けると、雨が降り出していた──。 そのまま歩き出そうとするけれど、思ったよりも雨は酷くて、一旦駅に戻り迎えにきてもらおうと電話をかけた。 コール音が続くのに、一向に出る気配はなくて、諦めて電話を切る。 「…出ないとか、寝てんのかな…」 仕方なくぼやいて、今日行くからって彼には伝えておいたはずなのにと思う。 だいたい雨が降っても気づいてもくれないなんて、恋人との関係も3年が過ぎるとこんなものなのかなとも感じる。 付き合い始めの頃には、ちょっとでも雨が降ったら走って駅まで迎えに来てくれたのに…と、かつてのことを思い出したら、なんだか虚しくなってきた。
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