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「翔琉、」 今すぐ逢いたいです、熱い想いの丈をぶつけようとして一瞬不安が過ぎる。 “逢いたい”。 この気持ちが、“好き”の気持ちでは無く、“寂しさ”を埋める依存から来るものではないだろうか。 その事実に気が付いてしまう。 翔琉は誰から見ても自立した男だ。 常に俺のことを一番に考えてくれるが、反面仕事にも一切の妥協を許さない。 この年末年始だってそうだ。 先程「姫始めをしたい」と言っていたが、社会人として……自分が世間から求められている仕事を優先し翔琉は必ず最高のクオリティで全うする。 だからこそ、様々なメディアで翔琉を見掛けない日はない訳で。 翔琉へと“逢いたい”と俺が一言告げれば、間違いなく彼は仕事の合間に飛んで来てくれるだろう。 今はまだ“逢いたい”だけで済んでいる想いも、依存によりこの先エスカレートしてしまったら……。 いずれ俺が、彼の味方では無く最大の弱点となってしまう可能性も否めない。 そんな自分は、翔琉に相応しくない。 結局俺は、その想いと共に翔琉へと伝えようとした言葉を呑み込んでしまう。 「――お仕事、頑張って下さい。テレビの前で、応援しています」 電話越しで力無く笑いながら伝えると、背後で名前を呼ばれていた翔琉に「おやすみなさい」を告げ電話を切る。 「――弱くなりたくなかったのに」 お互い想いが通じ合った後、恋を持続させることがこんなにも難しかったなんて。 布団を頭から被った俺は、枕に顔を埋め独り嗚咽を堪えるのであった。
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